事例問題の作成2007年02月16日 07:37

来年度開催の法律討論会における民法の問題作成を依頼されています。 昨年来、討論会に参加される学生さんたちのために良い問題を作成しようと色々と思い悩んでいます。

先日、下級審の裁判例をもとに1つの事例問題を試作してみました。 そこでの問題点については、2つの下級審判決が同時期に出ているのですが、いずれも対立する見解が採用されています。 ちなみに、最高裁では判断されずにいずれも高裁段階で確定していますので、将来に持ち越された問題といえるでしょう。

なかなか良い問題だとは思うのですが、よく考えてみると少々難しすぎるかもしれないと気づきました。 そこで教科書類を確認してみたのですが、やはり多くのものには論点すら掲載されていませんでした。 このまま出題すると、該当の下級審判決か、いくつかの研究論文を探し出せなければ、問題点すら見つけ出せない発表が多発する可能性もあるでしょう。

結局、この問題は来期のゼミで出題することにして、討論会用には別の事例問題を考えました。 詳細は申し上げられませんが、こちらも良い問題に仕上がったと思います。

ゼミや討論会での事例問題の出題は、学生さんとの真剣勝負だなと感じることがあります。 作成に際しては、まずは問題の骨格を作ったうえで、「ここに気づいてくれるかな」とか、「この問題にどう決着をつけてくれるかな」などと予測しつつ、問題文の中にいくつかの隠れた調味料を加えていきます。 そして発表の当日を迎えて、こちらの意図に気づいてくれたときには、大いに頼もしくもあり、また楽しくもあります。 逆に気づいてもらえなかったときには、残念な気持ちになると同時に、もっと勉強して欲しいとの思いに駆られます。

学生さん達には、以上のような出題者の思いを感じつつ、推理小説を読み解いていくような、はたまた将棋を指すような知的好奇心や勝負心を感じてもらえれば幸いです。