ウィーンへの研究旅行12009年12月14日 06:34

寝台列車の様子です。

先週は、ウィーン大学での消費者法の講演会とゼミナールに参加するため、オーストリアへ行ってきました。

ミュンスターから30分程度にあるドルトムントという街からナハト・ツーク(夜行列車)に乗って、デュッセルドルフやケルンを通過して、約14時間かけてウィーンに到着しました。 上記写真のような個室型クシェットが予約できましたので、パソコンも使えて快適でした。 奥に見えているのは開閉型の洗面台です。

朝には車掌さんが起こしに来てくれて、コーヒーつきの朝食も出されます。 到着までの小一時間ほど車窓からオーストリアの風景を見ながら贅沢な時間を過ごすことができました。 少々時間がかかることから迷ったのですが、とりわけ(いろいろな理由から…)飛行機の苦手な私にとっては最善の選択だったかと思います。

ゼミや講演会の様子は次回に…。

ウィーンへの研究旅行22009年12月17日 20:47

ウィーン西駅に列車が到着したところ、日本から先に到着されていたTさんがわざわざ迎えに来てくれていました。 ホテルの場所をチェックしていなかったので、大変助かりました。

一息ついたあと、午後からはウィーン大学にてゼミおよび講演会の打ち合わせにも参加させてもらいました。 さらに場所を大学近くのカフェに移して、ウィーン大学のS教授からオーストリア民法(ABGB)の概略についてお話を伺うことができました。

翌日から2日間、消費者保護に関する法律について日本とオーストリアおよびヨーロッパ私法との比較法的手法でゼミが行われました。 S教授のゼミの学生さん達が綿密な事前準備のもと個別に報告をされました(もちろんドイツ語で…)。

製造物責任法の報告では、日本で同法が成立する過程での著名な判例として、カネミ油症事件や森永ヒ素ミルク事件などが取り扱われていました。 また、不正競争防止法の報告では、郵パック事件やコジマ対ヤマダ事件などが紹介されていました。 ほかにも、一般契約法における消費者保護規定や普通契約約款規制、消費者契約法、給付障害法など、熱のこもった報告が続きました。

事前にゼミレポートを送っていただいていたうえ、当日は全員がパワーポイントを使用しての報告だったので分かりやすかったです(もちろん、ドイツ語での議論は半分も理解できませんでしたが…)。 ドイツやオーストリアの学生さんが日本の法律に触れる機会はおそらくほぼないでしょうから、これを機に日本への興味を増してもらえればありがたいと思います。

私も拙いドイツ語ではありますが簡単なコメントと質問をさせてもらいました。 とはいえ、ほかにも聞きたいことは沢山あったのですがほとんど会話に加わることができず、言葉の壁はまだまだ高いと改めて感じました。 今回の企画者である日本からのN教授はドイツ語も極めて堪能でかつ博識であり、S教授とともに議論をリードされていました。 言葉によって世界が広がるとはこういうことなんだと身をもって感じさせられる一場面でした。

こちらでは拍手の代わりに拳で机をコンコンコンとたたくようです。 なぜ拍手をしないのか不思議です。

続きは、さらに次回に…。

ウィーンへの研究旅行32009年12月19日 01:00

講演会の様子です。

ゼミ2日目の昼食は、大学近くのレストランにて、教授やゼミの学生さん達とともにいただきました。

その際にオーストリアの訛について興味深い話がありました。 オーストリアは完全にドイツ語圏なのですが、単語や発音に多少の違いがあるそうです。 たとえば、「s」の発音はドイツでは濁るのですが、オーストリアでは濁りません。 一例を挙げれば、「sondern」は、ドイツでは「ゾンダーン」と発音するのに対して、オーストリアでは「ソンダーン」となります。

また、北ドイツでは「美味しい」という場合に「lecker (レッカー)」という言葉を用いる人が多いのですが、オーストリアや南東部ドイツでは(その意味は通じるけれど)使用しないのだそうです。 日本でいえば、関西で関東の言葉を使うようなイメージなのでしょうか。 同じように、最近北部ドイツでは「さようなら」を「チュース」ということが多いのですが、オーストリアでは使わないそうです。 お店の人なども皆さん、きっちりと「アウフ・ヴィーダーゼーエン」と仰っていました。

さて、ゼミが終了したあとは、ウィーン大学の本部に場所を移してN教授の講演会が開催されました。 日本の消費者保護の現状についてドイツ語によるご講演でした。 ウィーン大学の教授方も多数来場され、また学生さんも相当数参加されていました。 ご講演後の討論会では、非常に多くの質問が出され闊達な議論がなされていました。 とくに、日本での私大授業料および入学金の返還訴訟については大くの方々が興味を持っておられたようです。

ご講演終了後は、大学近くのレストランで夕食をとりながら、ウィーン大教授3名と日本側の教員とで懇親会と相成りました。 楽しい雰囲気での会食は夜12時まで続きました(さすがにドイツ語ばかりでしたので、最後は思考停止状態でした…)。

このように今回は大変良い勉強の機会を得ることができ、S教授とN教授には心より感謝しております。 この経験を今後に生かせればと心新たにしているところです。

ウィーン番外編2009年12月24日 20:50

ウィーンの街並みです。

ちょうどクリスマスのイルミネーションで彩られた街並みは幻想的で綺麗でした。 日本人観光客の姿も多数見られましたが、人気の観光地であることも素直にうなづける趣のある街でした。

今にして思うのは、もう少し予備知識を持って出かけるべきだったなあということです。 ハプスブルク家の興亡、ドイツやフランスといった近隣諸国との関係など、歴史的な背景を詳しく知ってから行けばまた違った感慨にふけることができたかもしれません。

なんにせよ、わりと出不精な私ですが、今回は頑張って出張に出てよかったと思います。